Archive for 2013年2月18日

特別展「書聖 王羲之」

「書聖」という言葉を初めて知りました。王羲之(おうぎし)は、書を芸術にした男だそうです。確かに、字の上手い方にはあこがれますね。中国唐の時代の太宗皇帝が、殊の外、王羲之の書を愛したそうで、中でも最高傑作の蘭亭序は、所有者が拒んだため、盗み出してまで手に入れたといいます。折角集められた王羲之の書ですが、皇帝死去後に、棺に入れられたり、争乱で焼かれてしまったりと、直筆のものは残っていないそうです。

ただ、太宗皇帝は書を集めただけで無く、その複製を造りました。方法としては、原本の上に紙を置いて、細い筆で字形をなぞった摸本(もほん)と、原本を手本にして書いた臨本(りんぽん)というやり方があり、当然、摸本の方が手間と時間が掛かります。よって残存しているものもそれほど多くはないそうです。ただ、日本には、遣唐使船で王羲之の摸本や臨本がもたらされていたようで、それらは大切に受け継がれたのでしょう。今回の展覧会の目玉である世界初公開「王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)」は、日本で発見されました。

たった3行24文字ですが、大変貴重なのだそうです。

その他の展示で私が面白く感じたのは、まずそれぞれの書に沢山の印鑑が押されていることです。

真ん中の2行が王羲之の書(写)で、右の1行や左の数行は、清の皇帝が書き加えたものだそうです。周り押された印鑑はこの作品を見たものの印なんだそうです。貴重な作品になんて事をするんだと思ってしまいますけれど。

また「蘭亭図巻」も面白かったです。川の上流から杯を流し、飲んで一首詠むといういわゆる曲水の宴の様子を描いたものです。永和9年(西暦353年)に蘭亭で開かれたこの宴を蘭亭序としてまとめたのが主催者の王羲之です。これが、太宗皇帝が摸本を造って広がり、明の時代にその蘭亭序を元に、絵巻物のようにまとめられた作品です。ちなみに、王羲之さんは、右から2番目です。

蘭亭図鑑の元になった「蘭亭序」のコピーはアナログ方式ですので、多種多様な蘭亭序ができました。そのうちの5作品が並べて展示されていて、比較できるようになっていました。どの作品も始まりが永和九年なのでそこだけは読めます。それぞれ雰囲気は似た感じですが、当然のごとく違いは多くあります。

最初に王羲之の直筆は残っていないと申し上げました。ですから今はおろか、もしかしたらこの1000年、世界の誰も彼の本当の書を見たことが無いかもしれません。しかしながら、このようにコピーにコピーを重ねて受け継いできた歴史があるからこそ書聖と呼ばれているのでしょう。

書に対する知識を持ち合わせずに今回行ってみましたが、思いの外、奥深さを感じとる事ができ楽しく拝見できました。

 

アウトロー

懐かしい感じのアクション&少しのサスペンス映画でした。トム・クルーズの最新作「アウトロー」。ほど良い感じにハラハラドキドキさせてくれます。

トム・クルーズのアクションと言えば、「ミッション・インポッシブル」シリーズですね。華麗・派手なイーサン・ハントに比して今回のジャック・リーチャーは質実・剛健ですかね。ヒロインの弁護士さんは男受けの良さそうな感じでしたが、映画ではラブシーンは全く無し。キャラがぶれなくて良かったと思います。

難を言えば、悪役のキャラの薄さでしょうか。もう少し気骨が欲しかったかな。それと、登場人物それぞれのバックボーンの描写があればより楽しめたかも。見終わった後、小さなハテナマークがかなり浮かびました。その中で一番大きなハテナは、この映画が「アウトロー」というタイトル?でした。ツッコミ所は結構ありますが、何とか纏めきったと言ったところでしょう。どちらかと言えば渋めなストーリーなので、トム・クルーズと年齢が近い方が楽しめるかも。時間があればどうぞ。

★★★☆