上野公園で見かけたせんとくん。
これ、「国宝興福寺仏頭展」PR活動でした。ということで、
東京芸大美術館へ。
仏頭は、興福寺の数ある仏像の中でも、阿修羅像についで有名でしょう。教科書にも写真が載っていました。像の一部であり、しかもかなりの損傷がありながら、国宝に指定されています。気になる仏様にお目にかかってきました。
仏頭は約1mほどの大きさです。今回はぐるりと周りをめぐって拝めます。もともとは薬師如来像だったわけですから、かなりの大きさだったはずです。ところが火災で焼け落ち、その際に後頭部に傷を負いました。思わず顔を背けたくなるほど生々しい爪痕で、衝撃が想像できます。それにも係わらずお顔は美しいまま残ったというのが、奇跡のようです。
奇跡はまだあります。昭和初期に仏頭が発見されたという事です。火災後に新しく作られた本尊像の台座内に仏頭が納められ、その存在は何世紀も忘れ去られていたのです。そもそも、別のお寺の薬師如来像であったのに、興福寺にやってきたというのも、この仏様の数奇な運命を物語っています。
本来の薬師如来をお守りするために、鎌倉時代に作られた木造十二神将立像も同じフロアに展示されています。室町時代の火災で運び出され、離ればなれになってしまって以来、600年の時を経てまた一緒に並べられたとの事。興福寺でも別にされているようです。これら13体のいずれも国宝が広いフロアに配置されていまして、じっくり鑑賞できました。仏頭の”柔”、神将の”剛”と、実に見応えがありました。