Archive for 2013年7月29日

フウセンカズラ

入口前に置いてある鉢植えのフウセンカズラです。

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ところどころに茶色のものが見えますが、これが名前の由来の風船です。大きさは硬貨ほどです。緑色の風船が熟して茶色になります。

IMG_5509”風船”は、3つの小部屋に分かれていてそれぞれに5mm弱の種が入っています。

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この種、黒白のツートンカラーでカワイイのです。よく見ると白がハート型になっているのが、分かりますか?

白がハートで面白いっ!・・・と・・・・・・。

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カッシーニが撮った地球

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筋のある曲線と右下に白っぽい点が写っています。写真をクリックすると少し拡大して、それが上向き矢印なのが確認出来ますが、その示す先のボーッと白い点が我らが地球なんだそうです。そして巨大な筋は輪、影が土星です。これは今から15年以上も前に打ち上げられ、9年前の2004年に到着した土星探査機カッシーニから届いた画像。NASAのギャラリーで公開されています。それにしても鮮明ですね。私が天体望遠鏡で土星を覗いた時には、楊枝の刺さった白いダンゴのようでした。約500年前、輪があると知らないで土星を見たガリレオ・ガリレイが「土星に耳がある」と思った気持ちが分かります 🙂

カッシーニは、2017年まで運用されるので、まだまだ土星の情報が送られてくることでしょう。

土用丑の日

子どもの頃はそれほど有り難くなかったのですが、いつの間にか好物の部類に入りましたね。江戸の頃はお蕎麦と同じ程度の値段だったそうですが。先日、ふらっと入ったところでは、特上重6,500円とメニューにあって思わず仰け反りました。何せ滅多にお会いできなくなりました。
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今年の土用の丑は、本日と8月3日(土曜日!)の2度ありますけど、どちらの日にウナギを食そうと、言ってみればどうってことありません。そもそも、ウナギの旬は晩秋なのだそうです。つまり丑の日のウナギは時期は外しているのです。

一説ですが、売り上げの落ち込んでいたうなぎ屋の為に、エレキテルの平賀源内が考えたコピー、売り文句が「本日丑の日」。そんな事で客が来るのかと半信半疑の店主が掲げたところ、通りがかった知ったかぶりの江戸っ子が「なんのこっちゃ」と考えたが、ハタと膝を打ち、「丑の日に”う”がつく食べ物を食べると縁起がいいんだ、べらぼうめぇ」と訳も分からず注文する。端で見ていたうっかりな江戸っ子が彼奴が食べるならワシも、それならオイラもと、あっという間にお店は大繁盛。口コミ恐るべし。これが江戸中のうなぎ屋に知れ渡り、土用の丑のウナギが定着したのだとか。

真偽はさておき、これは食文化、伝統ですね。願わくば、もう少し気軽に食べられるようになればと思います。

エミール・クラウスとベルギーの印象派

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東京駅丸ノ内北口です。南口に比べて人の流れは少なく感じます。ここには、東京ステーションギャラリーという美術館があります。「エミール・クラウスとベルギーの印象派」展が開かれていました。美術展に出かけるのは好きですが、本当に有名な画家さん以外は名前もうろ覚えです。ましてやベルギーの印象派と言われても?でしたが、チラシで見たこの絵に引かれました。

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エミール・クラウスの「昼休み」という作品です。光溢れる昼下がりを写実的に切り取って実に見事でした。ところでエミール・クラウスって誰?と思われる方は多いかと思います。1・2点なら何度か日本にやってきているそうなのですが、今回のようにエミール・クラウスを大々的に取り上げる展覧会は日本で初めてだそうです。率直に「何故今まで知られていなかったのだろう?」と思う、素晴らしい絵画の数々でした。印象派好きなら必見。少しでも引っかかるなら見ておいた方がよいと思います。

意外だったのが、クラウスには、日本人の教え子がいたことです。倉敷の大原美術館設立に大いに係わった児島虎次郎(日本にエル・グレコの作品があるのは、彼のお陰です!)と太田喜二郎です。ただ残念なことに、日本では印象派はそれほど消化されなかったようです。この辺りがクラウスがそれほど取り上げてこられなかった理由なのでしょう。逆に言いますと、よくぞ今回の展覧会を企画したものです。

最後に会場のステーションギャラリーですが、独特の空間です。ドームなので壁が曲面というハンデはありますが、開業当初の赤煉瓦や工夫された照明など、駅構内という事を忘れ落ち着いて鑑賞できます。この秋の企画、植田正治も見に来たいです。彼のモノクローム写真、この空間に映えるでしょう。

 

夏目漱石の美術世界展

IMG_1099 シンプルですっきりしたこちらの洋館は、東京芸大の前身、東京音楽学校の奏楽堂だった建物です。その昔、滝廉太郎や山田耕筰なども学び演奏したことでしょう。国の重要文化財ですが、つい最近までコンサートホールとして使われていました。今は保全のため休館しています。

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さて、東京芸大の美術館で開かれているのが、「夏目漱石の美術世界展」です。どちらかというとマイナーな場所での展覧会にもかかわらず、結構混み合っていました。

「坊ちゃん」にこんな一節があります。

「あの松を見たまえ、幹が真直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」と赤シャツが野だに云うと、野だは「全くターナーですね。どうもあの曲り具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ」と心得顔である。ターナーとは何の事だか知らないが、聞かないでも困らない事だから黙っていた。(中略)すると野だがどうです教頭、これからあの島をターナー島と名づけようじゃありませんかと余計な発議をした。赤シャツはそいつは面白い、吾々はこれからそう云おうと賛成した。この吾々のうちにおれもはいってるなら迷惑だ。おれには青嶋でたくさんだ。

この一節をヒントに展覧会に展示された絵がターナーの「金枝」という作品です。

The Golden Bough

確かに、傘のように開いてます 🙂

このように、小説等で言及された作品を出来る限り集めた展覧会なのです。「坊っちゃん」では上の引用文の直後にラファエルのマドンナ云々と出てきますが、さすがにラファエルの聖母は来ていません。

漱石は文展他、美術批評もしています。作品と批評を並べて展示しているのですが、挿画を描いてもらっている中村不折の「巨人の蹟」には、「そこまで言うか」的な辛辣コメントに吹き出しそうになりました。

言われた方は、「それなら自分で描いて見ろ」と思ったかもしれませんが、そんな漱石さん自筆の掛け軸が数点展示されていまして・・・。云うのとやるのは大違い。遠近感がまるで無いですし、そもそも形が取れていません。でも本人はかなり大まじめで取り組んでいたと思います。意欲は感じました。

漱石さんの人となりを美術を通して感じられる展覧会でした。またミュージアムショップも猫グッズを中心にユニークな物があったのと、漱石の小説も販売されていました。今回の企画のように、視点を変えた美術展は楽しいですね。非常に面白かったです。