Archive for 2014年2月28日

小さいおうち

chiisai-ouchi_p_1024_1024ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた黒木華(はる)さんももちろんですが、松たか子さん、倍賞千恵子さんも名演、さすがでした。

昭和の初め、山形から東京の「小さいおうち」へ女中奉公にやってきた黒木華演じる若きタキさんが、老いてからつづった(倍賞千恵子さん演)自叙伝を軸に、物語は進んでいきます。少しずつに戦争の影が濃くなる中でも、タキのいる小さいおうち平井家には幸せが満ちていました。ところが、ある台風の晩に起きた小さな波紋。それは結果的にタキを長く苦しめてしまう事に繋がって行きます・・・。

シンプルなストーリーで、導入部はちょっと退屈なのですが、現代と戦前の時代を行き来しながらストーリーが進むに連れてドンドン面白くなっていきます。黒木華さん演じる純朴な女中と、松たか子さん演じる上品な奥様時子。老いてからのタキを演じた倍賞さんは動くスピードに微妙な変化を付けて、健康状態を演じ分けられていたりと、女優3人の名演は見事。もう安心してその世界に浸れます。小ネタや伏線、くすぐりもちゃんと散りばめてあるところは、ベテラン監督の巧さでしょう。熱演の女優陣に比べ、男優陣は少し物足りなかったですが、それでも非常に上質なドラマだと感じました。あっという間の136分でした。

小さいおうち 公式サイト

★★★★★

シャヴァンヌ展

20140226091841002

 

渋谷の東急文化村ザ・ミュージアムにてシャヴァンヌの日本で初めての本格的な展覧会が開かれています。私、全く知りませんでしたが、19世紀フランスを代表する壁画家なのだそうです。

シャヴァンヌは、当時の国内外とも不安定な世相にあったからか、壁画の中に平和な理想郷を追い求めます。フランス国内のルーアン美術館、パリ市庁舎、パンテオン他、アメリカのボストン公共図書館等の壁画も手がけるなど、国際的に活躍をしたそうです。

art14011910000001-p1

 

今回は壁画作品の縮小版の展示です。作家自らが壁画の見本となるような”縮小版”を描いたそうで、これらをもって壁画の注文を受けたのだとか。この他、デッサンや習作、未完成作品もたくさん展示してあります。壁画の下絵も含まれていて、画家の構想が垣間見られます。

また、黒田清輝がフランス留学中にアドバイスを受けたなど、日本へも少なからず影響を与えたようです。藤島武二、小林萬吾らによる、シャヴァンヌ作品の模写も展示されていました。

壁画家という職種を初めて知りました。公共の場所に飾られるため、邪魔にならぬように自己主張や色調等は抑える必要があったのかもしれません。トーンもぼやけた感じで、古き良き時代といった風情でした。

お時間があれば、どうぞ。

 

はじまりは5つ星ホテルから

20140220093518001

 

非常に興味深い職業の女性が主人公の映画です。舞台は世界各地のラグジュアリーなホテル。それらを泊まり歩いて最高のサービスを受けるのが彼女の仕事です。実は彼女はホテル格付け会社の覆面調査員。案内された部屋からポーターが下がると、早速仕事に取りかかります。ベッドはシーツまで剥がしてマットレスを確認。真新しい白手袋を嵌めて、部屋に飾られた額の縁をなでて、ホコリがつくかどうか?電球・アメニティのチェック、ルームサービスがやってくる時間まで計測するという完璧な仕事ぶりは、まるでドラマで描かれる典型的な新妻のあら探しをする姑のようです。

華やかで羨ましい仕事の反面、勤務が不定期極まりないわけです。同僚は退職していき、独身の彼女にその分の仕事が回されます。親しい人との時間も思うように取れず、プライベートがどんどん窮屈になっていくのですが、それでも彼女は仕事中心を変えず、周囲とちょっとずつずれていきます。

そんな中、ある滞在中のホテルで起きた些細な出来事で知り合った女性に起きた出来事に、主人公は衝撃を受けて・・・。

主人公を演じたマルゲリータ・ブイは、実に的確。また撮られたのは女性の監督さんで、女性の内面が丁寧に描かれていましたし、ホテルの無機質な空間に柔らかい雰囲気が出ていました。見終えてちょっと自身も振り返ってみるそんな映画でした。お薦めです。

はじまりは5つ星ホテルから 公式サイト

★★★★☆

IMG_21092月8日は思わぬ大雪になりましたね。昼前はまだ弱い雪だったので、知人のグループ展を拝見するため京橋のギャラリーに出かけてみました。こんな天気でもやってくる物好きは私以外には居ませんで、まあ、そんな日もありますよ 🙂