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グランド・ブダペスト・ホテル

0舞台はレトロですが、新鮮でお洒落な映像です。ところどころブラックな表現がありますが、全編に遊び心溢れる、これぞエンターテインメントといった感じの作品です。映画「グランド・ブダペスト・ホテル」時は現在。東欧のどこか、古ぼけた街中に残された墓地。どことなくモノクロな場所に、一冊の本を携えた華やかな女性が颯爽とやって来るシーンから映画が始まります。鮮やかな対比です。

その手にある本のタイトルは「グランド・ブダペスト・ホテル」。銅像が造られるほどの大作家が、かつて滞在した寂れたホテルで聞いた話をまとめたストーリーでした。戦前には栄華を誇ったこの温泉リゾートホテルには多くのセレブがやってきていました。伝説のコンシュルジュ”グスタヴ・H”と天涯孤独で新人のベルボーイ”ゼロ”は、ホテルの上顧客だったマダムの葬儀に向かったが、相続のゴタゴタに巻き込まれ、殺人の濡れ衣を着せられたり、暗殺者に狙われたりしていくのですが・・・。

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というストーリー、雪山を逃げる暗殺者を追いかけたり、ホテル内での派手な撃ち合いもあるのですが、サスペンス映画ではありません。登場人物はそれぞれキャラクターが立っていて、それぞれの演技もいいです。驚いたのは、伝説のコンシュルジュ役のこの方が、

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その名を口に出来ない、あのお方でした。「ハリー・ポッター・・・」

また、エンドロールも最後まで見せる工夫など、とにかく、楽しくて濃ゆい映画でした。

★★★★★

アナと雪の女王

346540view002 まさにディズニーですねぇ。「真実の愛」という問いに、奇をてらわず単純明快な回答です。アニメならではの美しい映像表現と、楽曲それぞれが素晴らしいミュージカル仕立ての構成。単純なストーリーだからこそ、観るものに真っ直ぐ届きます。ディズニーランドと同じで、幅広い年齢層が一緒に楽しめます。映画というよりショーに近い。細かいことを気にしちゃいけません。娯楽作品なのですから。それも一級の!

思わず、サウンドトラック盤を買っちゃいました 🙂

★★★★★

ゼロ・グラビティ

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映画は観るものを色々な世界に連れて行ってくれます。この映画の行き先は、私たちの真上、600キロ上空の「ゼロ・グラビティ」、無重力空間です。

ふわりと浮かびながらインタビューに応える日本人宇宙飛行士の映像を見かける事が珍しくなくなり、また一般人向けの宇宙旅行計画もあると聞くと、もう気軽に行けそうな場所に思えるのだけれど・・・。

非日常の空間過ぎです。息、詰まります。

目の前に広がる地表の球面と覆う雲の微妙な凹凸、そして漆黒の宇宙空間。映画館という暗闇の中で3Dのスクリーンで観るから、疑似体験が出来るのでしょう。この映像は家庭のテレビでは再現しきれないのではと思えるスケールです。

ストーリーはシンプル。登場人物も2人だけと言っていい。90分という短い作品ですが、濃いめのコーヒーのように、ギュッと詰まってコク切れとも図抜けています。

楽しむ映画というより、新しい映像体験でした。第86回アカデミー賞で監督賞の他、作曲賞、視覚効果賞、編集賞、録音賞、音響編集賞、撮影賞を受賞した事が物語っているでしょう。

★★★★★

小さいおうち

chiisai-ouchi_p_1024_1024ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた黒木華(はる)さんももちろんですが、松たか子さん、倍賞千恵子さんも名演、さすがでした。

昭和の初め、山形から東京の「小さいおうち」へ女中奉公にやってきた黒木華演じる若きタキさんが、老いてからつづった(倍賞千恵子さん演)自叙伝を軸に、物語は進んでいきます。少しずつに戦争の影が濃くなる中でも、タキのいる小さいおうち平井家には幸せが満ちていました。ところが、ある台風の晩に起きた小さな波紋。それは結果的にタキを長く苦しめてしまう事に繋がって行きます・・・。

シンプルなストーリーで、導入部はちょっと退屈なのですが、現代と戦前の時代を行き来しながらストーリーが進むに連れてドンドン面白くなっていきます。黒木華さん演じる純朴な女中と、松たか子さん演じる上品な奥様時子。老いてからのタキを演じた倍賞さんは動くスピードに微妙な変化を付けて、健康状態を演じ分けられていたりと、女優3人の名演は見事。もう安心してその世界に浸れます。小ネタや伏線、くすぐりもちゃんと散りばめてあるところは、ベテラン監督の巧さでしょう。熱演の女優陣に比べ、男優陣は少し物足りなかったですが、それでも非常に上質なドラマだと感じました。あっという間の136分でした。

小さいおうち 公式サイト

★★★★★

はじまりは5つ星ホテルから

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非常に興味深い職業の女性が主人公の映画です。舞台は世界各地のラグジュアリーなホテル。それらを泊まり歩いて最高のサービスを受けるのが彼女の仕事です。実は彼女はホテル格付け会社の覆面調査員。案内された部屋からポーターが下がると、早速仕事に取りかかります。ベッドはシーツまで剥がしてマットレスを確認。真新しい白手袋を嵌めて、部屋に飾られた額の縁をなでて、ホコリがつくかどうか?電球・アメニティのチェック、ルームサービスがやってくる時間まで計測するという完璧な仕事ぶりは、まるでドラマで描かれる典型的な新妻のあら探しをする姑のようです。

華やかで羨ましい仕事の反面、勤務が不定期極まりないわけです。同僚は退職していき、独身の彼女にその分の仕事が回されます。親しい人との時間も思うように取れず、プライベートがどんどん窮屈になっていくのですが、それでも彼女は仕事中心を変えず、周囲とちょっとずつずれていきます。

そんな中、ある滞在中のホテルで起きた些細な出来事で知り合った女性に起きた出来事に、主人公は衝撃を受けて・・・。

主人公を演じたマルゲリータ・ブイは、実に的確。また撮られたのは女性の監督さんで、女性の内面が丁寧に描かれていましたし、ホテルの無機質な空間に柔らかい雰囲気が出ていました。見終えてちょっと自身も振り返ってみるそんな映画でした。お薦めです。

はじまりは5つ星ホテルから 公式サイト

★★★★☆

アウトロー

懐かしい感じのアクション&少しのサスペンス映画でした。トム・クルーズの最新作「アウトロー」。ほど良い感じにハラハラドキドキさせてくれます。

トム・クルーズのアクションと言えば、「ミッション・インポッシブル」シリーズですね。華麗・派手なイーサン・ハントに比して今回のジャック・リーチャーは質実・剛健ですかね。ヒロインの弁護士さんは男受けの良さそうな感じでしたが、映画ではラブシーンは全く無し。キャラがぶれなくて良かったと思います。

難を言えば、悪役のキャラの薄さでしょうか。もう少し気骨が欲しかったかな。それと、登場人物それぞれのバックボーンの描写があればより楽しめたかも。見終わった後、小さなハテナマークがかなり浮かびました。その中で一番大きなハテナは、この映画が「アウトロー」というタイトル?でした。ツッコミ所は結構ありますが、何とか纏めきったと言ったところでしょう。どちらかと言えば渋めなストーリーなので、トム・クルーズと年齢が近い方が楽しめるかも。時間があればどうぞ。

★★★☆