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IMG_21092月8日は思わぬ大雪になりましたね。昼前はまだ弱い雪だったので、知人のグループ展を拝見するため京橋のギャラリーに出かけてみました。こんな天気でもやってくる物好きは私以外には居ませんで、まあ、そんな日もありますよ 🙂

モネ、風景をみる眼

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「モネ、風景をみる眼」が国立西洋美術館にて開催中です。

「私の眼は開かれた。

自然を理解し、愛することを知ったのだ」

ー クロード・モネ ー

0001510006MMモネコレクションで有名な箱根のポーラ美術館との共同企画だけあって、モネ36点を筆頭に、印象派の素晴らしい風景画が鑑賞できます。難しい事を考えないで、どっぷりと作品世界に浸れます。

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「モネは眼にすぎない、しかし何と素晴らしき眼なのか」

セザンヌにこう言わしめたモネ。納得です。

モネ以外では、マネ・セザンヌ・ゴッホ・ルノアール・シスレー・ゴーガン・スーラ・ピサロ等の絵画。プラスエミール・ガレのガラスまで豪華ラインナップで本当に見応えがありました。

常設の方では、エドヴァルド・ムンクの版画展が開かれています。あの「叫び」を彷彿とさせる作品も展示されていますので、お時間のある方は是非。どちらも3月9日までです。
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ターナー展

去年から楽しみにしていましたターナー展です。上野の東京都美術館にて。

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”英国最高の巨匠 待望の大回顧展!”というのも納得の展覧会でした。出品点数は油彩約30点を含む110点。愛用のスケッチブックやパレット、絵の具箱までありました。

まずは、「バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨」という長めのタイトルがついた、ターナー23歳の時の油彩作品です。イギリスの田舎そのものといったイメージですね。

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この絵の発表時に以下のような詩の一節が、添えられていました。なかなかのロマンティスト。しかもちょっと自信も見え隠れしてますね 🙂

堂々たる儚い弓が
壮大にそびえ立ち、ありとあらゆる色彩が姿をあらわす

 

IMG_2074ターナーは、スケッチブック片手にイギリス国内を回っていました。廃墟となった修道院や聖堂を特に好んで描いたようです。デッサンが細かくされていて、一部さらっと水彩で色が着いていますが、これだけでも、質感や奥行きが表現されていて、並々ならぬ観察眼とそれを紙の上で再現できるテクニックを持っていたことが分かります。

これだけ実力がありながら、どうも人物は得意では無かったようです。

ft3_pic0145歳で描かれた「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」という作品は幅3.3mもある大作です。タイトル、そしてキャンバスの広さからすればかなり控えめなラファエロで、しかもその描かれ方はすぐ脇の彫刻が施された柱に比してもシンプル。漫画チックでした。それでもこの空間を歪めた構図の取り方や、遠景の山並みまで続く街の様子など素晴らしすぎます。

晩年は、フォルムをぼかすものが増えていきます。また未完成のままというのもかなりありました。その中の一枚、「湖に沈む夕陽」です。

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この作品。彩色は一通り終わってはいますが、サインは入っていません。右手には丘と建物らしき影。左に白い点が置かれ、その付近に船のような影が入っています。 そこからの連想でタイトルが没後に付けられました。この絵がこの先どう描かれようとしていたのかは、ナゾのまま残りました。

これら以外にもたくさんの見応えある作品があります。たっぷりと時間をとっての鑑賞をお奨めします。

興福寺仏頭展

上野公園で見かけたせんとくん。

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これ、「国宝興福寺仏頭展」PR活動でした。ということで、

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東京芸大美術館へ。

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仏頭は、興福寺の数ある仏像の中でも、阿修羅像についで有名でしょう。教科書にも写真が載っていました。像の一部であり、しかもかなりの損傷がありながら、国宝に指定されています。気になる仏様にお目にかかってきました。

仏頭は約1mほどの大きさです。今回はぐるりと周りをめぐって拝めます。もともとは薬師如来像だったわけですから、かなりの大きさだったはずです。ところが火災で焼け落ち、その際に後頭部に傷を負いました。思わず顔を背けたくなるほど生々しい爪痕で、衝撃が想像できます。それにも係わらずお顔は美しいまま残ったというのが、奇跡のようです。

奇跡はまだあります。昭和初期に仏頭が発見されたという事です。火災後に新しく作られた本尊像の台座内に仏頭が納められ、その存在は何世紀も忘れ去られていたのです。そもそも、別のお寺の薬師如来像であったのに、興福寺にやってきたというのも、この仏様の数奇な運命を物語っています。

本来の薬師如来をお守りするために、鎌倉時代に作られた木造十二神将立像も同じフロアに展示されています。室町時代の火災で運び出され、離ればなれになってしまって以来、600年の時を経てまた一緒に並べられたとの事。興福寺でも別にされているようです。これら13体のいずれも国宝が広いフロアに配置されていまして、じっくり鑑賞できました。仏頭の”柔”、神将の”剛”と、実に見応えがありました。

 

印象派を超えて―点描の画家たち

国立新美術館にて、「印象派を超えて―点描の画家たち」が開催されています。

点描は印象派の描いた光をより明るく描くためにとられた手法で、展覧会場にもその手法についての説明がありましたが、難しいことはさておきます。

まずは点描前の印象派です。モネとシスレーを取り上げていました。シスレーの風景が私は大好きです。明るい緑と青空や水辺に光溢れる作品。心が洗われるようです。今回も素敵な作品が来ていました。

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この印象派の光をより強く描こうとしたのが、スーラとシニャックです。何点かの絵画とともに、デッサンの展示がありました。特徴がよく分かると思います。

こちらはスーラによるコンテの作品。カタログより。

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そして、シニャックのチョークを用いた作品です。

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一般的なデッサンとは違って、線がほとんど目につきません。そんなスーラの絵画です。印象派とは雰囲気が違いますね。色は点で表現されているのですが、特に手前の手すりは色々な色が使われているのにも係わらず、全体としてみると茶系に見えています。

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でも今回の展覧会で強く印象に残ったのは、ゴッホです。「レストランの内部」という作品は、こういっては何ですが、上手い訳ではないのです。ですが、言いようのない凄さがにじみ出てくるのです。

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この他に数点ゴッホがありましたが、デッサンもやっぱりゴッホなところが、なかなか面白かったです。

モンドリアンにも驚かされました。

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こんな風景画を描いていた方が、

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砂丘をこんな感じに描き、そして、ついに農場の風景がこんな風になりました。

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しまいには、ここまで行きました。

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いやはや、奥が深いですね。でも、会場で作品を見ていると、何となくですが、ここに行き着く流れの一端を感じられました。なかなかユニークで面白い展覧会でした。

国立競技場

客席を登るにつれて景色が抜けていきます。向こうは新宿の高層ビル群ですね。運動日和の国立霞ヶ丘競技場です。

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後ろを振り返り見上げると、点火された聖火台です。1964年にも灯された聖火台。出来てもう半世紀になりますが、古さは感じさせませんね。

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競技場の隅には、役目を十分に終えた時計が置かれていました。もの悲しい感じなので、何かに利用して欲しいです。

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この日は特別にトラックで走ったり、投げたりが出来ました。50mだけ走りましたが、ちょっと嬉しい。

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ちなみにウェアへ着替える場所は競技のテレビ中継で見た同じロッカールームを使えました。と言ってもシンプルで公立の体育館らしい設備ですけど。

来年にはこの競技場も取りこわしが始まり、数年後あの未来的なスタジアムに変わります。まだまだ現役で使えそうなだけに勿体ない。ここは残し、必要なら別の場所に建設すれば良いのにとも思います。建て替えるにしても、東京駅やKITTEになった東京中央郵便局のように、どこかにこの競技場の一部を残せたらいいのにと、この場所で汗をかきながら思った秋晴れの日でした。

若冲が来てくれました

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福島市の福島県立美術館「若冲が来てくれました」

「よくぞ!来て下さいました!!」

そう思える展覧会でした。月並みな言葉ですが、美の持つ力を思い知らされます。来場者は老若男女実に様々な人たちで、誰もが笑顔でそして譲り合って作品を鑑賞していたのが印象的でした。生命力溢れながらもユーモラスな作品が多い今回の展覧会。これら全ては日本人による作品である事が嬉しくて誇らしくなります。作品の保護に必要なギリギリまで近づける配慮も有り難いです。作品タイトルは誰にでもに分かりやすいよう付けられています。とにかく楽しく見て元気になる素晴らしい展覧会です。

中でも気に入った作品を幾つか。若冲以外にも素晴らしい江戸絵画が来ています。まずは、見上げるのと、見下ろすお猿さん。

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それぞれ、違う方の掛け軸です。どちらもいきいきとしています。ちなみに、見上げた猿くんの視線の先には、ハチ!

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見下ろす作品の崖はほんの一部だけしか描かずに底知れぬ谷を想像させ、見上げる作品はハチと猿との絶妙な距離感が背景無しと合わさって、不思議な空間を演出しています。この二つに限らず、空間の美は江戸の特徴ですね。

素晴らしい屏風を2点。これらもそれぞれ別の方の作品です。

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上は、もともと大きな屏風というカンバスに目一杯大きく描かれた白い象と黒い牛。それぞれに、対照的な黒いカラスと白い犬が描かれているのですが、この子たちが何とも言えず愛くるしい。

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この黒い牛のお腹あたりにうずくまったこの腰砕けワンコは、あまりに寛ぎすぎてはいないだろうか 🙂

下の松の屏風の雪は、白い絵の具をまき散らかしているのです。ちょっとジャクソン・ポロックを連想しました。一つ一つの雪を大きさも考えて散らされている印象でした。

こちらには、なぜか木に登るウサギさんがいました。

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これら、若冲以外の中でも非常に印象に残ったのが、鈴木其一(すずききいつ)という方です。

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鮮やかな紅葉も素晴らしいのですが、私は右の青桐に釘付けになりました。雨に打たれる様を実に繊細に描いています。其一は他に白鷺の屏風と貝図がありましたが、そちらも見事。貝の縞模様の線などはあまりに凄すぎて絶句します!

そして若冲さん。まずは、今回の展覧会のコレクション所有者である、ジョージ・プライスさん、最初の一歩である葡萄図です。

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この水墨画については、今回の展覧会がテレビで紹介される度に映しだされていて、その際にも良い作品だなとは思っていたのですが、実物を目の前にすると、エネルギーに満ちた、たとえは変ですが、今にも動き出してしまいそうな葡萄でした。丸っこい葉っぱと実、曲がりくねり太さも極端な枝の対比、バランス。それを実に上品にまとめ上げているのです。

そして、最後は今回の展覧会の出発点になった作品。「花も木も動物もみんな生きている」です。IMG_1307

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モザイクのような作品。これらは、約1センチ四方の方眼が描かれ、その中の色も塗り分けられています。隣あったマス目が同じ色なら極力同じ模様を、違うとパターンも変えて描きわけています。しかもこれ手描きですね。どれだけの時間を費やしたのでしょう。常人には窺い知ることは出来ないでしょう。完成したのは、明るくピースフルな世界でした。

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とにかく、凄いコレクションでした。まとめて見られるのは今月までです。無理してでも行って観てきて下さい。会場へは、東北新幹線「福島」駅福島交通飯坂線に乗り換えて2駅目、「美術館図書館前」駅下車です。なお福島駅の飯坂線乗り場ホームは、「阿武隈急行線」と同じなので、くれぐれも電車をお間違えなきように。戻ってくるのはかなり大変です。(私は間違えました(^^;)

それと一つ目の「曽根田」駅前にあるそばや峰亀は、お薦めしておきましょう。