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若冲が来てくれました

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福島市の福島県立美術館「若冲が来てくれました」

「よくぞ!来て下さいました!!」

そう思える展覧会でした。月並みな言葉ですが、美の持つ力を思い知らされます。来場者は老若男女実に様々な人たちで、誰もが笑顔でそして譲り合って作品を鑑賞していたのが印象的でした。生命力溢れながらもユーモラスな作品が多い今回の展覧会。これら全ては日本人による作品である事が嬉しくて誇らしくなります。作品の保護に必要なギリギリまで近づける配慮も有り難いです。作品タイトルは誰にでもに分かりやすいよう付けられています。とにかく楽しく見て元気になる素晴らしい展覧会です。

中でも気に入った作品を幾つか。若冲以外にも素晴らしい江戸絵画が来ています。まずは、見上げるのと、見下ろすお猿さん。

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それぞれ、違う方の掛け軸です。どちらもいきいきとしています。ちなみに、見上げた猿くんの視線の先には、ハチ!

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見下ろす作品の崖はほんの一部だけしか描かずに底知れぬ谷を想像させ、見上げる作品はハチと猿との絶妙な距離感が背景無しと合わさって、不思議な空間を演出しています。この二つに限らず、空間の美は江戸の特徴ですね。

素晴らしい屏風を2点。これらもそれぞれ別の方の作品です。

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上は、もともと大きな屏風というカンバスに目一杯大きく描かれた白い象と黒い牛。それぞれに、対照的な黒いカラスと白い犬が描かれているのですが、この子たちが何とも言えず愛くるしい。

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この黒い牛のお腹あたりにうずくまったこの腰砕けワンコは、あまりに寛ぎすぎてはいないだろうか 🙂

下の松の屏風の雪は、白い絵の具をまき散らかしているのです。ちょっとジャクソン・ポロックを連想しました。一つ一つの雪を大きさも考えて散らされている印象でした。

こちらには、なぜか木に登るウサギさんがいました。

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これら、若冲以外の中でも非常に印象に残ったのが、鈴木其一(すずききいつ)という方です。

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鮮やかな紅葉も素晴らしいのですが、私は右の青桐に釘付けになりました。雨に打たれる様を実に繊細に描いています。其一は他に白鷺の屏風と貝図がありましたが、そちらも見事。貝の縞模様の線などはあまりに凄すぎて絶句します!

そして若冲さん。まずは、今回の展覧会のコレクション所有者である、ジョージ・プライスさん、最初の一歩である葡萄図です。

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この水墨画については、今回の展覧会がテレビで紹介される度に映しだされていて、その際にも良い作品だなとは思っていたのですが、実物を目の前にすると、エネルギーに満ちた、たとえは変ですが、今にも動き出してしまいそうな葡萄でした。丸っこい葉っぱと実、曲がりくねり太さも極端な枝の対比、バランス。それを実に上品にまとめ上げているのです。

そして、最後は今回の展覧会の出発点になった作品。「花も木も動物もみんな生きている」です。IMG_1307

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モザイクのような作品。これらは、約1センチ四方の方眼が描かれ、その中の色も塗り分けられています。隣あったマス目が同じ色なら極力同じ模様を、違うとパターンも変えて描きわけています。しかもこれ手描きですね。どれだけの時間を費やしたのでしょう。常人には窺い知ることは出来ないでしょう。完成したのは、明るくピースフルな世界でした。

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とにかく、凄いコレクションでした。まとめて見られるのは今月までです。無理してでも行って観てきて下さい。会場へは、東北新幹線「福島」駅福島交通飯坂線に乗り換えて2駅目、「美術館図書館前」駅下車です。なお福島駅の飯坂線乗り場ホームは、「阿武隈急行線」と同じなので、くれぐれも電車をお間違えなきように。戻ってくるのはかなり大変です。(私は間違えました(^^;)

それと一つ目の「曽根田」駅前にあるそばや峰亀は、お薦めしておきましょう。

すけっちぶっく18 グループ展

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9月1日(日)から8日(日)まで、九段生涯学習館の2階ギャラリーにて、透明水彩画サークル「すけっちぶっく18」のグループ展が開かれます。このサークルでは4人の講師が順番に指導を受けているお陰で、メンバーそれぞれの個性が発揮された画風を楽しめると思います。どうぞお運び下さいませ。私も数点出品しています。うち一番小さな作品だけご紹介させていただきます。会社裏手から見た聖橋です。

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エミール・クラウスとベルギーの印象派

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東京駅丸ノ内北口です。南口に比べて人の流れは少なく感じます。ここには、東京ステーションギャラリーという美術館があります。「エミール・クラウスとベルギーの印象派」展が開かれていました。美術展に出かけるのは好きですが、本当に有名な画家さん以外は名前もうろ覚えです。ましてやベルギーの印象派と言われても?でしたが、チラシで見たこの絵に引かれました。

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エミール・クラウスの「昼休み」という作品です。光溢れる昼下がりを写実的に切り取って実に見事でした。ところでエミール・クラウスって誰?と思われる方は多いかと思います。1・2点なら何度か日本にやってきているそうなのですが、今回のようにエミール・クラウスを大々的に取り上げる展覧会は日本で初めてだそうです。率直に「何故今まで知られていなかったのだろう?」と思う、素晴らしい絵画の数々でした。印象派好きなら必見。少しでも引っかかるなら見ておいた方がよいと思います。

意外だったのが、クラウスには、日本人の教え子がいたことです。倉敷の大原美術館設立に大いに係わった児島虎次郎(日本にエル・グレコの作品があるのは、彼のお陰です!)と太田喜二郎です。ただ残念なことに、日本では印象派はそれほど消化されなかったようです。この辺りがクラウスがそれほど取り上げてこられなかった理由なのでしょう。逆に言いますと、よくぞ今回の展覧会を企画したものです。

最後に会場のステーションギャラリーですが、独特の空間です。ドームなので壁が曲面というハンデはありますが、開業当初の赤煉瓦や工夫された照明など、駅構内という事を忘れ落ち着いて鑑賞できます。この秋の企画、植田正治も見に来たいです。彼のモノクローム写真、この空間に映えるでしょう。

 

夏目漱石の美術世界展

IMG_1099 シンプルですっきりしたこちらの洋館は、東京芸大の前身、東京音楽学校の奏楽堂だった建物です。その昔、滝廉太郎や山田耕筰なども学び演奏したことでしょう。国の重要文化財ですが、つい最近までコンサートホールとして使われていました。今は保全のため休館しています。

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さて、東京芸大の美術館で開かれているのが、「夏目漱石の美術世界展」です。どちらかというとマイナーな場所での展覧会にもかかわらず、結構混み合っていました。

「坊ちゃん」にこんな一節があります。

「あの松を見たまえ、幹が真直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」と赤シャツが野だに云うと、野だは「全くターナーですね。どうもあの曲り具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ」と心得顔である。ターナーとは何の事だか知らないが、聞かないでも困らない事だから黙っていた。(中略)すると野だがどうです教頭、これからあの島をターナー島と名づけようじゃありませんかと余計な発議をした。赤シャツはそいつは面白い、吾々はこれからそう云おうと賛成した。この吾々のうちにおれもはいってるなら迷惑だ。おれには青嶋でたくさんだ。

この一節をヒントに展覧会に展示された絵がターナーの「金枝」という作品です。

The Golden Bough

確かに、傘のように開いてます 🙂

このように、小説等で言及された作品を出来る限り集めた展覧会なのです。「坊っちゃん」では上の引用文の直後にラファエルのマドンナ云々と出てきますが、さすがにラファエルの聖母は来ていません。

漱石は文展他、美術批評もしています。作品と批評を並べて展示しているのですが、挿画を描いてもらっている中村不折の「巨人の蹟」には、「そこまで言うか」的な辛辣コメントに吹き出しそうになりました。

言われた方は、「それなら自分で描いて見ろ」と思ったかもしれませんが、そんな漱石さん自筆の掛け軸が数点展示されていまして・・・。云うのとやるのは大違い。遠近感がまるで無いですし、そもそも形が取れていません。でも本人はかなり大まじめで取り組んでいたと思います。意欲は感じました。

漱石さんの人となりを美術を通して感じられる展覧会でした。またミュージアムショップも猫グッズを中心にユニークな物があったのと、漱石の小説も販売されていました。今回の企画のように、視点を変えた美術展は楽しいですね。非常に面白かったです。

三宅理恵「独演コンサート」

4月の志田さん、西村さんのジョイントコンサートにゲスト出演されていたソプラノの三宅理恵さんがとても印象深かったので、彼女の独演コンサートに行ってきました。これが大変素晴らしい会でした。

歌曲の魅力にも気づいたとという事で、歌曲を中心にヴァラエティーに富んだ選曲での2部構成+アンコール1曲。スラッとしたスタイルから本当にパワフルな声が沸き上がってくるのが圧巻です。声域もナチュラルで聴きやすくて。私、普段はクラシック系を殆ど聴かない人なのですが、そんな私にでも巧さというか凄さが分かりました。

全曲、素晴らしかったのですが、中田喜直の「サルビア」、シュトラウスの歌曲からの3曲、シャミナードの「夏」は特に見事。星野富弘「今日もひとつ」は心に染みました。最後のミュージカル「キャンディード」の「着飾ってきらびやかに」は、感情のうねりが見事に表現されて可愛らしくエクセレント。ミュージカルを見事に切り取って演じられていました。第2部のドレスは、このタイトル「着飾ってきらびやか」そのものでした。

MCは苦手なのでといいつつ、楽しいおしゃべりも聞かせてくれた三宅さん。大満足&贅沢な時間を過ごさせていただきました。

伴奏の岡本知也さんも素晴らしかった。バランスを上手くとって、彼女の歌を引きだしていました。またこのユニットで聴きたいです。

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アンコールは黒人霊歌。曲目は失念しましたが、主催のブログに出てました。「全世界は神様の御手に」。ブログの写真は第1部のドレスですね。

第24回ちよだ文化連盟展

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昨日は大変な賑わいでしたね 🙂

さて、本日から19日日曜日までの1週間。地下鉄「九段下」駅すぐの九段生涯学習館にて第24回ちよだ文化連盟展が開かれます。ちよだ文化連盟には、千代田区内で活動する20弱のサークルが所属しています。その中の絵画系サークルを中心に今回は書道、写真、切り絵、花、木工等約140点もの作品展示がされています。

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毎年好評のチャリティー絵画展は、絵画の他、縁起物が描かれた大きな瓢箪などもありました。こちらの売り上げは長野県栄村と岩手県大槌町に送られることになっています。

展覧会をご覧になった方には、17日(金)18時30分からのTHE DIVASゴスペルコンサートにもご招待されます。スタンダードナンバーやオールディズのメドレーなどを女性4人のアカペラで聴かせてくれます。キュートでパワフルなステージは楽しいですよ。

お誘い合わせの上、是非ご来場下さいませ。

ラファエロ

50周年、緑の山手線にようやく乗れました 🙂

やってきたのは、国立西洋美術館。ラファエロが開かれています。昨年のリヒテンシュタイン展で1点ありましたが、今回は23点もの作品が見られる日本で初めての展覧会です。500年目の初来日!ラファエロが生きたイタリアルネッサンスは、日本では、戦国時代初期の頃です。織田信長や武田信玄はまだ生まれていません。

全体の点数が約60点と少なめですが、会場は広々。展示がゆったりめに配置されています。人数が多い割には見やすかったです。人気の「大公の聖母」も思ってたよりジックリ鑑賞できました。

会場に入ると最初に迎えてくれるのが、ラファエルの自画像。優しい好青年ですね 🙂

ラファエロが画家として独り立ちしたのはなんと17歳。この自画像は20歳ごろのようです。芯の強さが垣間見えますね。

img_raffaello2013_5友人の後ろに立つ30を過ぎたラファエロ。目元はそのままですが、自信が伝わってきます。ところがこの数年後、37歳の若さでこの世を去ってしまいます。

今回の一番の目玉「大公の聖母」です。ただただ美しい絵画です。

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手前に素描も展示されています。二人の位置関係はほぼ同じですが、聖母の視線と手の位置が違っていたので、この作品の構想のためのものか、他の作品のためなのか分かりません。

見終わってみると、あっさりめだったかなとの印象です。展覧会は4部構成で、最後の「ラファエロの継承者たち」は今ひとつでした。 ラファエロと言えばルネッサンスなので、継承者よりは、同時代の作家との比較もあったらより深まったように思えます。まあそれは、9月からのミケランジェロで見なさいという事でしょうか  😉

ただ今回は、20点以上も見られるという貴重な機会です。お見逃し無きよう。会期は6月2日までです。